Q1. 吃音とは
ことばを引き伸ばしたり(「こ~んにちは」)、繰り返したり(「ここここんにちは」)、詰まったり(「・・・(言おうとするが出ない)こんにちは」)といった、流暢さがない話し方をしてしまう事を言います。それにより、コミュニケーションがとりづらくなったり、話すときの体の緊張や、対人関係の問題、自分自身への否定的な感情を抱いてしまったりすることです。
吃音の定義:・器質的な明確な問題がみられない(脳梗塞など)
・発話のリズムに一般より著しい乱れがある
・これらの症状によりコミュニケーションに困難さを生じている
Q2. なぜ吃音になるの?
なぜ吃音になるのか、原因やメカニズムは長年研究されていますが、詳しい部分はまだ分かっていません。脳の機能になにかしらの特徴があると考えられています。
原因は分かりませんが、統計的に以下のようなことが分かっています。
・人口の約0.7~1%が発症 (吃音の判定が困難な例もあり、実際はもっと多いと考えられている)
・国や民族の違いはなく、男女比はおよそ男3:女1
・2~4歳の時期に、人口の約5%が発症(1次性吃音) このうちの約70%が自然に治る
Q3. どんなことをしたらいいの?
・家庭でできること
吃音を指摘したり、「ゆっくり話してごらん」など話し方のアドバイスをするなどは、<吃音は悪いことなんだ>という気持ちが増してしまうため、あまりしない方が良いと言われています。また、吃音でうまくいえない時に、こちらが代弁することもあまりよくないとされています。「吃音があっても、気持ちを伝えられれば大丈夫!」という気持ちで接することができると良いです。
・専門機関による支援・訓練
環境調整(ことばかけやかかわり方など、周囲の環境を調整する)、リッカムプログラム(行動療法に基づいた訓練)、メンタルリハーサル法(頭の中で吃らずにしゃべる経験を積む)など、様々な方法が開発・実施されています。
しかし、もっとも大事なのはどのような訓練をするのか、吃音の症状をどう抑えるかではなく、その人がよりよい人生を送ることです。吃音があっても楽しくしゃべり、楽しく生きることが最も大切です。
Q4. 吃音かもしれないと感じたときはどうしたらいい?
近くのことばの教室や、言語聴覚士(ST)がいる病院に相談にいってみましょう。
当センターでは、小児科・児童精神科を受診していただき、必要に応じてSTが担当します。個別で訓練・相談を行うこともありますが、主には、吃音を抱える子どもたちを対象としたグループ活動の中で、吃音児同士の交流や、親の勉強会を開催しています。
参考文献
・『エビデンスに基づいた吃音支援入門』 著:菊池良和 学苑社
・『吃音ワークブック どもる子どもの生きぬく力が育つ』 著:伊藤伸二 解放出版社
・『改訂 吃音(言語聴覚療法シリーズ)』 著:都筑澄夫 建帛社